関連するキーワード

 誰もが気軽にまちに出て、活動できるためには、人々にとって親しみの持てる、あるいは愛着の持てる場づくりが大切です。例えば、わくわくする風景や自然と触れ合える心地よい空間、こどもも楽しめる空間や多様な人々が気兼ねなく関わることのできるような多様性のある空間、目的をもって利用できる個性や特徴のある空間、市民の誇りになるような空間などが考えられます。

道路の一部を占用して行われた「道路のパークフェス」には、様々な市民が愛着をもって集まっている(横浜市関内さくら通り)
都市のメインストリートでは、使いやすさとともに親しみやすさや風景の魅力も大切にされ、「歩きたくなる」場づくりが求められる(横浜市日本大通り)
ストリート利用者に対する、ストリートの魅力や期待に関するアンケート調査結果。イベントや賑わい以上に、憩いの場を求める声が大きい(横浜市:日本大通り)
日本大通りへの期待に関する調査*¹  
みなまきみんなのひろば整備における地域の関わり:相鉄いずみ野線南万騎が原駅前にある「みなまきみんなのひろば」では、地域のこどもたちとの地域資源探しのフィールドワーク、まちあるきMAPの作成、こどもたちが地域資源を描き、コメントしたプレートの埋め込み、整備時に伐採されることとなった木を使ったものづくりワークショップなど、広場づくりの前段階から地域とともに進めており、親しみのある広場づくりが進められた
みなまきみんなのひろばワークショップの進め方のステップ
(出典:横浜市・相鉄グループ・stgk.inc*²)
(出典:横浜市・相鉄グループ・stgk.inc*²)

コラム

地域への愛着や信頼と身体活動量が関連
 2082名のアメリカ人(平均年齢56.5歳・白人38.7%・アフリカ系アメリカ人61.4%)を対象に、地域への愛着や信頼が住民の身体活動や健康的な習慣と関連しているか調査した研究があります*³。年齢、性別、教育歴、貧困度合い、糖尿病や高血圧の状態などの影響を考慮しても、白人とアフリカ系アメリカ人ともに、地域への愛着や信頼の高さが身体活動の高さと関連していました。白人については、タバコの使用量の低さや健康的な食生活スコアの高さとも関連していました。
 地域への愛着や信頼を高めるような場づくりは、その地域の住民の身体活動と健康を高める可能性があります。
地域愛着が高いほど、身体活動量の高さと関連していた。その関連の大きさは、学歴やかかりつけ医の存在と同程度の水準だった

参考文献

*1 高橋亮, 野原卓, & 三浦詩乃. (2019). 都心部における公共空間としてのストリートの役割とその実態に関する研究 横浜市日本大通りにおける都市政策上での位置づけ・空間利用実態・利用者意向に着目して. 都市計画論文集, 54(3), 967-974.
*2 横浜市・相鉄グループ・stgk.inc.(2015).「みなまきのまき」.
*3 Rosenblatt, A., Crews, D., Powe, N., Zonderman, A., Evans, & Tuot, D. (2021). Association between neighborhood social cohesion, awareness of chronic diseases, and participation in healthy behaviors in a community cohort. BMC Public Health 21, 1611.