関連するキーワード

 子どもや子育て世代から高齢者まで、多様な年代が集える居場所が求められています。高齢者にとっては地域の行事や慣習などを次の世代に引き継ぐ活動や、子どもの見守り活動などにやりがいを感じられることで活動量の増加が期待できます。また、子育て世代にとっても子育ての悩みを高齢者に相談する機会をきっかけに地域活動に参加し、地域活動を継承していくことで、地域内の人的ネットワークが広がり、活動量が増えることが期待されます。

くらし協同館なかよし(ひたちなか市):元生協の店舗を地元NPOが借り受けて、買い物、食事が出来る場、喫茶サロンやゆったりくつろげる居場所、健康づくり講座など、多世代が集って多様な活動ができる場を運営している
空き家を利用し、温泉や食事処、会議室等を備える拠点施設と、健康増進のためのウェルネス施設、子育て世代向けのカフェ、高齢者向けデイサービス施設を設置
輪島KABULET®拠点施設
グループけやきは「けやきの公園」(板橋区)の清掃や花づくりに加え、陽だまりコンサート(写真)や防災訓練、芋煮会などのイベントを行い、住民の交流の場を住民の手で管理・運営している

コラム

小学校の近くに住む女性高齢者はうつになりにくい
 日本の65歳以上の高齢者131,871人を対象に、居住地から最寄りの小学校までの距離とうつ(うつ傾向含む)との関連を分析した研究があります*¹。結果、女性では、最寄りの小学校から400m以内に住んでいる者と比較して、 400m以上800m未満の地域に住む者は1.06倍、800m以上の地域に住む者は1.07倍うつのリスクが高いことがわかりました。このことから、女性高齢者にとって小学校の近くに居住することは、メンタルヘルスに良い影響があることが示唆されました。女性は、次世代によりよい価値を繋いでいこうとする感覚「世代継承性(Generativity)」が男性よりも高いことが知られています。小学校の近くは、小学生を目にしたり交流したりしやすい環境と考えられるため、世代継承性の感覚が満たされやすくなり、女性のメンタルヘルスによい影響をもたらしている可能性が考えられます。多様な年代が集まる場づくりは、地域住民の健康によい影響をもたらす可能性があります。
居住地から最寄りの小学校までの距離とうつのリスク:横軸は、分析に用いた居住地から最寄りの小学校までの距離のカテゴリ。縦軸は、400m未満に居住する高齢者のうつリスクを1としたとき、それぞれのカテゴリに居住する高齢者のうつリスク

参考文献

*1 Nishida, M., Hanazato, M., Koga, C., & Kondo, K. (2021). Association between proximity of the elementary school and depression in Japanese older adults: a cross-sectional study from the JAGES 2016 Survey. International journal of environmental research and public health, 18(2), 500.