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 ウォーカブルで使いやすいまちを育むには、自然と歩きたくなるような、あるいは自然と使いたくなるような場所や設えを用意してゆくことが大切であり、様々な立場の人たちが自然と近づきたくなる、自然と使いたくなるような、人を遠ざけないような空間デザイン(アフォーダンスを考えた空間デザイン)の工夫が必要です。そのためには、手に取りやすい素材(夏季に熱くなったり冬季に冷たくなったりしない素材)や、柔らかな素材の利用、角の少ないデザイン、ちょうど使いやすい高さや寸法、自然と遊びたくなったり立ち寄りたくなる水辺や遊具の工夫などが考えられます。また、街区内の建物や空間においても、貫通できる動線や、内部に入りやすかったり奥が見通せたりするようなファサード作りなど、浸透性の高い設えのあり方も期待されます。

自然と水にふれあえる河川空間(ソウル市清渓川)
自然と腰を掛けたくなるような寸法・形状でデザインされた植栽防護柵(横浜市日本大通り)
まちなかでチェスなどの遊び道具が用意された広場(シドニー)
自然とこどもたちが導かれる、近づきやすい水辺(シドニー)
クライムウォーキング(宮崎市イオンモール宮崎):エレベータホールに階段室のデザインが表出し、近づきやすい階段デザイン

コラム

アフォーダンスとは?
 アフォーダンス*¹とは、アメリカの知覚心理学者ジェームス・J・ギブソンにより提唱された概念であり、「環境が動物に対して与える『意味』」あるいは、「動物と物の間の、行為に結びつく可能性のある関係性」のことです。その後、この考え方をベースに、この意味が行為を生み出す可能性を引き出すデザイン概念としても用いられています。自然と行為に及びやすい、自然と使われるような場のデザインを行うことで、行動をサポートできる可能性が広がります。

参考文献

*1 Gibson,James J.(1979)."The Theory of Affordance" The Ecological Approach to Visual Perception.,Boston: Houghton Mifflin.