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 外気温、風雨などの気候は、人々の身体活動に影響を与えます*¹。緑陰を作り風雨を防ぐ街路樹、日射や雨雪を防ぐ庇(ひさし)やオーニングを連続させることが身体活動を促すと考えられます。気候の厳しい季節には、空調されたショッピングセンターなどでの「モールウォーキング」も有効です。快適な歩行を支援するため、雨に濡れない経路を探索するアプリが供用されています。また、建物の日陰を通る経路の探索システムも開発されています。五輪マラソン競技の暑熱対策としては、街路樹の樹冠拡大*²やミストシャワー、路面温度の上昇を抑える舗装などが提案されました。

夏や冬は歩数が減りやすい*¹
緑陰を作り風雨を防ぐ街路樹(ロンドン)
雁木通りは積雪期の身体活動の維持に有効*³(上越市)
ヒートアイランド対策が期待される「水の週間打ち水大作戦」(出典:国土交通省)
ヒートアイランドの緩和、延線騒音の低減、都市景観の向上などを目的として、鹿児島中央駅からの軌道(約35,000平方メートル)を緑化

コラム

夏には歩数の地域格差が拡大
 暑さの厳しい夏には、駅から遠い地域、人口密度が低い地域、交差点密度が低い地域の居住者の歩数は、他地域と比べて減りやすい傾向にあります*⁴。これらの地域の居住者はもともと歩数が少ない傾向にあり、夏場に格差が拡大することを意味します(例えば、駅から遠い地域と近い地域の差は春に238歩ですが、夏には+116歩拡大します)。空調の効いた空間での運動を促すなど、地域性と季節を踏まえた介入が必要と言えるでしょう。
歩きやすい/歩きにくい地域における一日当たりの歩数差

参考文献

*1 Hino, K., Lee, J. S., & Asami, Y. (2017). Associations between seasonal meteorological conditions and the daily step count of adults in Yokohama, Japan: Results of year-round pedometer measurements in a large population. Preventive medicine reports, 8, 15-17.
*2 Kosaka, E., Iida, A., Vanos, J., Middel, A., Yokohari, M., & Brown, R. (2018). Microclimate variation and estimated heat stress of runners in the 2020 Tokyo Olympic Marathon. Atmosphere, 9(5), 192.
*3 Kosaka, S., Umezaki, M., Ishikawa, M., & Watanabe, C. (2014). Physical activity and the neighborhood environment in a heavy snowfall area in Japan: The role of "Gangi-dori". Landscape and urban planning, 123, 124-133.
*4 Hino, K., Lee, J. S., & Asami, Y. (2021). Interaction effect of neighborhood walkability and season on adultsʼ step count. Journal of Transport & Health, 20, 101027.