道路は、自動車や自転車、人間が移動(通行)する場である一方で、人が街に出るときに最初に出会う、最も使う機会の多い公共空間でもあります。歩きやすいウォーカブルなまちを目指すには、道路のあり方が大切になりますが、本来道路が担う、快適な「移動」(リンク)の機能だけでなく、ちょっと休んだり、佇んだり、交流したりする、時には目的地にもなるような、「滞留」(プレイス)としての機能も併せて意識する必要があります。同時に、この両者が邪魔しあうことのないような適切な道路空間(道路断面)を設けることが、外出機会や使用機会を高めたり、そとで過ごしたくなる都市空間を生み出すことにつながります。
歩行者志向のデザイン Design
01 リンクとプレイス
Link and Place関連するキーワード
つくば霞ヶ浦りんりんロードの「旧筑波鉄道コース」には旧駅舎を活用した休憩所が設置されている
コラム
通行にも滞留にも寄与する歩道空間の断面構造
アメリカの交通関係者の組織、NACTO(全米交通計画官協会)では、道路断面、特に歩道断面を、通行空間(Pedestrian/ Throughway Zone)と滞留空間(Furnishing/Curb Zone:ベンチがあったり、植栽があったり、時には屋台を出したりなどすることのできる空間)に整理することが示されています*³。また、お店からのにじみだしができるような店舗前空間(Frontage Zone)が設けられることもあります。一方で、「シェアドスペース」と呼ばれる、あえて道路の断面を分断せずに、同じ空間を共有しながら交通静穏化(自動車のスピードの低減)を図るやり方もあります。参考文献
*1 Jones, P., Marshall, S., & Boujenko, N. (2008). Creating more people-friendly urban streets through ‘link and place’street planning and design. IATSS research, 32(1), 14-25.
*2 出口敦・三浦詩乃・中野卓編著,中村文彦・野原卓ほか.(2019).『ストリートデザイン・マネジメント:公共空間を活用する制度・組織・プロセス』. 学芸出版社.96-98
*3 豊島区.「国際アート・カルチャー都市構想実現戦略」.
*4 National Association of City Transportation Officials. (2013). Urban Street Design Guide.
*2 出口敦・三浦詩乃・中野卓編著,中村文彦・野原卓ほか.(2019).『ストリートデザイン・マネジメント:公共空間を活用する制度・組織・プロセス』. 学芸出版社.96-98
*3 豊島区.「国際アート・カルチャー都市構想実現戦略」.
*4 National Association of City Transportation Officials. (2013). Urban Street Design Guide.