近年、健康の様々な側面に建造環境(Built Environment)が影響をおよぼす過程や機序を示す報告が増えてきています。人口減少時代の持続可能なまちづくりのために、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を追求する“工学”の視点を基盤に、健康と建造環境の関連を研究課題としています。第一の目的を、健康と建造環境との関連を示すエビデンス構築とし、第二の目的を、民間企業とも連携した健康なまちづくりの実践例の構築としています。

Research Interests: 身体と空間・都市・環境

  • 大学の医学系研究センターに所属し、公衆衛生・社会医学の観点より、私たちを取り巻く空間や都市、環境について考察しています。
  • 具体的には、私たちの健康リスクと建築や都市などの環境の関係を分析し、アセスメントとマネジメントによるすこやかな空間設計・都市計画論を検討することが大きな目標のひとつです。
  • 建築意匠、都市デザインにたずさわる過程で得た、人間行動と環境の関係性への眼差しを基礎とするため、必然的に心理学、社会学、人類学などの社会科学にも目配りをしています。また、このような調査研究を、異分野連携、分野融合の教育プログラムとして整理、開発しています。

Approach: 研究活動の姿勢

  • 科学的姿勢と創造・文化的姿勢の2つの姿勢より研究活動を進めています。
  • 最 終的には社会に対して価値の創造と提案をミッションとしています。事実を客観的に知るという、価値創造とは一線を画し たこれまでの自然科学的姿勢に加え、一歩踏み込み、いかに社会への価値創造と提案に繋げていくか、いうなれば創造・文化的姿勢からも活動していきたいと考 えています。
  • (この2つの活動姿勢は、環境、社会背景を評価したうえで、科学技術の総合を指揮し、創造、文化的行為を行う建築意匠を出自とするためであると自己分析しています。)

 

Scientific: 科学的姿勢(評価・シミュレーションとモデル開発)

  • 健康リスクの評価と建築や都市などの環境の関係を分析しています。小児期、高齢期の2つのライフステージ、ミクロな住環境と、マクロな都市施設配置などに注目しています。
  • 調査で得られる環境測定結果や質問票、生体試料など、客観的なデータの収集と、解析結果によるシミュレーションとその評価のための実モデル開発を実施しています。

Creative: 創造・文化的姿勢(コンセプトメイキングと価値提案)

  • 前述の調査研究で得られた結果と考察を踏まえ、身体と空間・都市・環境に関わるコンセプトメイキングと、実際の建築プロジェクトによる価値提案をしています。
  • また、人類の歴史と都市の発明、発展に公衆衛生がどのように影響を及ぼしてきたか、調査編集するプロジェクトも進めています。