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 商店街のように多様な商業施設が近接する空間をはじめとして、商業施設以外にもオフィスや住宅、レクリエーション施設等の多様な施設が地域内に混在していると、それらの施設を回遊する活動が増え、歩行量が増加することが期待されます。また、⼟地利用の多様性を高めることで、活動時間や年齢層が異なる人々の活動が地域に混在し、1日を通して賑わいのある空間づくりに寄与することも考えられます*1*2

用途純化された住宅地(左)と地下鉄駅周辺や広幅員道路の沿道に商業・業務施設が配置され,戸建て住宅以外にも集合住宅や店舗・作業所併用住宅などの用途が混在した地区(右)
野七里テラス(横浜市):建築基準法第48条の例外許可により第一種低層住居専用地域に開設されたコンビニ併設型のコミュニティ施設(撮影:秋月優里氏)
高松丸亀町商店街(高松市):再開発により商店街の上にマンションや医療モールを建設し、消費の場から生活の場に転換を図ることで歩行者も増加し、賑わいを取り戻した

コラム

歩きやすい地域では加齢しても身体活動量が減りにくい
 地域の歩きやすさ(ウォーカビリティ)と高齢者の中高強度の身体活動量の関係について調査した研究があります。日本の3つの地域(都市部、郊外、田舎)を対象に5年間の身体活動量の変化を比較した結果、全ての地域において高齢者の身体活動量は減少しましたが、ウォーカビリティが高い地域に住む高齢者は低い地域に住む高齢者に比べ、減少量が小さいことがわかりました。ウォーカビリティが高い地域が備える特徴として、⼟地利用が多様で、住宅密度が高く、道路の接続性がよいことが報告されています。こうした地域に居住すると、加齢による身体活動量の減少が緩和される可能性があることが明らかにされました

参考文献

*1 Christian, H.E., Bull, F.C., Middleton, N.J., Knuiman, M.W., Divitini, M.L., Hooper, P., ... & Giles-Corti, B. (2011). How important is the land use mix measure in understanding walking behaviour? Results from the RESIDE study. Int J Behav Nutr Phys Act 8, 55.
*2 埴淵知哉. (2012). 「近隣の身体活動環境と運動習慣の関連-JGSS-2010 による分析」. 日本版総合的社会調査共同研究拠点研究論文集, (12), 1-10.
*3 Kikuchi, H., Nakaya, T., Hanibuchi, T., Fukushima, N., Amagasa, S., Oka, K., ... & Inoue, S. (2018). Objectively measured neighborhood walkability and change in physical activity in older Japanese adults: a five-year cohort study. International journal of environmental research and public health, 15(9), 1814.