第24回日本行動医学会総会で学会発表しましたアブストラクトは以下の通りです。

Purpose

ワーク・エンゲイジメントを高めるオフィス環境について関心が高まっている。本研究では、オフィスワーカーの仕事の種類として、ひとり作業、打合せ、会議などの頻度と、それらが行われる場所について、心理ストレスとの関連を考察することを目的とする。

Method

2つのオフィスビルで勤務する建設会社社員を対象に、質問紙調査を実施し、1,835(男性1436,女性399)名の回答を得た。目的変数として、K6得点の5点以上を心理ストレス有りとした。ひとり作業の頻度を自席、会議室、打合せスペース、食堂について尋ねた。また、打合せの頻度を打合せスペースと食堂について、会議の頻度を会議室と食堂について尋ねた。これらの変数について探索的因子分析をおこない、抽出された変数を説明変数とし、質問紙調査で得た、性別、年齢、ストレス対処能力、仕事の量的負担、仕事のコントロールを調整したロジスティック回帰分析をおこなった。分析にはSPSSver.21を用い、オッズ比(OR)および95%信頼区間(95%CI)を算出した。

Results

心理ストレス有りのものは35.5%であった。探索的因子分析では、会議室での会議の頻度、打合せスペースでのひとり作業の頻度、食堂でのひとり作業の頻度の3因子が抽出された。説明変数に会議室での会議の頻度を2群(週2回以上と週2回未満)、打合せスペースでのひとり作業の頻度と食堂でのひとり作業を2群(週1回以上と、週1回未満)としたロジスティック回帰分析の結果、心理ストレスのORについて、打合せスペースでひとり作業が週1回以上の者は、週1回未満の者に比べ1.46(1.16-1.83)、食堂でのひとり作業が週1回以上の者は、週1回未満の者に比べ1.84(1.26-2.69)であった。

Conclusion

ワーカーの仕事の種類としてひとり作業、打合せ、会議とこれらが行われる場所について着目し、心理ストレスとの関連を分析したところ、打合せスペース・食堂でのひとり作業と心理ストレスとの関連がみられた。これらのスペースでのひとり作業をするワーカーの心理ストレスに注意する必要がある可能性が示唆された。

Photo: Theen Moy. Creative Commons BY-NC-SA