団地の未来 / The Future of Housing Complex Project に参加しました。私たちの提案は以下です。
Dynamic Common
私たちは持続可能な地域コミュニティの創出を目指し、「集まって住む」ことにより実現できる「人・地域・社会の”健康”」に寄与する集会所を提案します。この集会所は、様々な人々や物・情報が行き交い、集まり、多くのことを共有・発信し、その活動を通して絶え間なく変化しています。 団地だからこそできる様々な共有・互助の仕組みと集会所を補完しあうよう提案することによって、これからの「集まって住む未来」のあり方を提案します。
1 ダイナミックコモンスペースとしての集会所
集まる人・物・情報によって絶えず変化し新たな「かたち」を発信する動的共有空間
団地内外の様々な場所において発生する活動や運動に対して物的支援、社会的支援人的支援を実施する多様なプログラムを開発・実行・評価する拠点としての集会所を提案します。
①託児スペースの設置
C棟に団地内の子供を預かる託児スペースを提案しまし、リビングダイバーシティ住戸(※後述)の家庭を中心に団地内の就学前児童を受け入れます。
②コモンスペースの設置
本提案では、E-ラウンジ、管理事務室に様々な活動を支援するためのスペースを加えコモンスペースとして提案します。 ここでは、「Health, Environment and Community Management System」を活用し、団地内外で発生する多種多様な活動を把握・現象化(空間化)・コーディネイト・発信を行います。
- Health
「21世紀における国民健康づくり運動」において対象となった9分野(fig.2)を基に個人と各棟の健康値を数値化・見える化し、コモンスペースや団地内SNSで共有します。また、インセンティブとして成績優秀者・棟に団地内コミュニティ農園やコネクティングパスに面した花壇の期間限定所有権を付与します。また、簡易的な健康チェックの実施、タウンドクター・保健師・心のケアなどの相談に関してもコーディネイトを実施しています。 - Reuse
団地内の各家庭において不必要になった家具・物品の引き受け・渡し、交換をコーディネイトします。集められた家具などは、リビングダイバーシティ住戸やコモンスペース、空き家ラボ・オフィスにおいて活用することができます。また、各家庭において管理されているこれらの物品はデジタル化やAR(拡張現実)化にすることによって、団地内SNSやコモンスペースにて体感することができます。 - Community
団地内外の活動・運動などを把握・見える化・コーディネイトし、活動を促します。また、健康に関する専門知識を持つ ヘルスサポーターなど、各種授業・活動等におけるボランティアを育成した上、高齢者ボランティアマッチングシステム(fig.3)によって、ボランティアを必要とする人達・しても良いと思っている人たちのマッチングを行います。 - Archive
団地内の記憶をアーカイブ化していくスペースを提案します。団地の形を模した棚をコモンスペース壁面に設置し、団地内で住民が実際に体験・発見した「もの・こと」を共有・アーカイブ化できる、インタラクティブで絶えず変化し続ける場を提案します。
2 リビング・ダイバーシティ(Living Diversity for Community Health)
健康格差の縮小
健康な地域コミュニティを実現するためには健康格差の縮小が必要です。近年の公衆衛生・社会疫学の調査・研究は、住人の社会経済要因(Socio Economic Status: SES)が個人の健康に大きな影響を及ぼしていることを明らかにしました。このSESの差が大きくなればなるほど社会全体が不健康になると考えれています。
本提案では、社会的サポートが必要な居住者(fig.4)に充分なサポートを提供することにより、SESの差をフォローし健康格差の縮小をめざすとともに、様々な世帯構成によるリビング・ダイバーシティを推進します。具体的には、団地内における空き家をリビング・ダイバーシティ住戸としてリフォームし、母子・父子世帯、子育て世帯、高齢者世帯、低額所得者世帯などの優先居住を図ります。一定期間の居住後は、その住戸は賃貸・分譲用として再び一般住戸となります(fig.5)。リビング・ダイバーシティをサポートする物的支援、社会的支援、人的支援を実施する多様なプログラムの開発・実行・評価の拠点として集会所が機能します。