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 都市の中の移動空間を健康まちづくりの視点から考えると、単に移動・通行するための場所だけでなく、ふと立ち止まったり、休んだり、憩うことのできる場は、誰もが豊かに場を利用するためにも、まちに足を運ぶ上でも、重要です。そのためには、立ち止まり、憩うことのできるたまりの空間や、ストリートファニチュア(什器・家具・付属物)などを積極的に設置することが大切です。ちょっとしたポケットパーク・避難スペース、ベンチや寄りかかることのできるハイカウンターなどの設え、オープンカフェやパラソルの設置などを用いた、快適で安心して憩うことのできる場づくりが求められます。近年では、パークレット(コラム参照)などを用いた憩いの場づくりの事例も見られます。

立ち止まる場のベンチに加えて、周辺に植栽を用意して居心地のよさを高める(松山市花園町通り)
柏の葉アクアテラスのデッキ:デッキの向こうにアクアテラス(利活用できるようにデザインされた調整池)を臨むことができる
道路上のパーキングメーター部分をちょっと休んだり憩うことのできるベンチに整備しなおした例(横浜市元町商店街,2020)
ガイトウスタンド(写真提供:東京大学都市デザイン研究室):まちの街路灯にテーブルを付加するだけで、憩いと交流の場ができる
足湯に合わせて設けられた、足つぼを刺激する健康遊歩道(伊豆の国市湯らっくす公園)
IKE・SUNPARK イケ・サンパーク(豊島区):遊具や休憩できるファニチュアを設置することで様々な人たちが集まる
卓球台や健康遊具などの設えを公共空間に用意することで、アクティブな健康活動を外部空間で元気に行うことができる
シドニーThe Goods Line(卓球台)
シドニーThe Goods Line(健康遊具)
芝生が敷かれたヒコーキベンチ(柏の葉)
ハイライン(ニューヨーク)

コラム

パークレット(Parklet)を用いた憩いの空間の創出
 パークレット(Parklet)とは、車道内に設けられたパーキングメーター部分を利用して、デッキやベンチを仮設的に設置して設けられた憩いの空間のことです*¹。サンフランシスコ市において始まったこの取り組みは、当初、学生・専門家らの自主的活動から始まり、その後、Park(ing) Dayと呼ばれるイベントが開催されました。さらにその後、沿道店舗などもかかわりながら、自治体が政策の中でも位置づけた道路を公園のように使う Pavement to Parks というプログラムを基に、パークレットが仕組みとして位置づけられることになり、その後、欧米を中心に各地で展開されています。パークレットがあることで、みちに豊かな居場所が生まれます。
左:トロント市、右:サンフランシスコ市(写真提供:三浦詩乃氏)

参考文献

*1 出口敦・三浦詩乃・中野卓編著,泉山塁威ほか著.(2019).『ストリートデザイン・マネジメント:公共空間を活用する制度・組織・プロセス』.学芸出版社.137-140