都市の中の移動空間を健康まちづくりの視点から考えると、単に移動・通行するための場所だけでなく、ふと立ち止まったり、休んだり、憩うことのできる場は、誰もが豊かに場を利用するためにも、まちに足を運ぶ上でも、重要です。そのためには、立ち止まり、憩うことのできるたまりの空間や、ストリートファニチュア(什器・家具・付属物)などを積極的に設置することが大切です。ちょっとしたポケットパーク・避難スペース、ベンチや寄りかかることのできるハイカウンターなどの設え、オープンカフェやパラソルの設置などを用いた、快適で安心して憩うことのできる場づくりが求められます。近年では、パークレット(コラム参照)などを用いた憩いの場づくりの事例も見られます。
歩行者志向のデザイン Design
02 アーバン・ファニチュア
Urban Furniture関連するキーワード
ガイトウスタンド(写真提供:東京大学都市デザイン研究室):まちの街路灯にテーブルを付加するだけで、憩いと交流の場ができる
卓球台や健康遊具などの設えを公共空間に用意することで、アクティブな健康活動を外部空間で元気に行うことができる
コラム
パークレット(Parklet)を用いた憩いの空間の創出
パークレット(Parklet)とは、車道内に設けられたパーキングメーター部分を利用して、デッキやベンチを仮設的に設置して設けられた憩いの空間のことです*¹。サンフランシスコ市において始まったこの取り組みは、当初、学生・専門家らの自主的活動から始まり、その後、Park(ing) Dayと呼ばれるイベントが開催されました。さらにその後、沿道店舗などもかかわりながら、自治体が政策の中でも位置づけた道路を公園のように使う Pavement to Parks というプログラムを基に、パークレットが仕組みとして位置づけられることになり、その後、欧米を中心に各地で展開されています。パークレットがあることで、みちに豊かな居場所が生まれます。参考文献
*1 出口敦・三浦詩乃・中野卓編著,泉山塁威ほか著.(2019).『ストリートデザイン・マネジメント:公共空間を活用する制度・組織・プロセス』.学芸出版社.137-140