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 歩きやすく活動しやすい都市空間を実現するには、人間の感覚に合ったヒューマンスケールな空間構成について確認することが大切です。建物が大きな壁となって先が見通せないまちになったり、街区と街区の間の距離が長くて交差点が遠いみちになったりしないように、できるだけ短い距離で次の通りに出くわすような歩行者空間ネットワークを用意することで、経路の選択肢を増やして、まちに入り込みやすい(パーミアブルな)街路構成となるようにしてゆくことが大事です。具体的には、大きな街区の場合、その中にも抜け道や街路、フットパス(歩行者が抜けられるルート)を設置することが考えられます。

パーミアビリティのあるまちのイメージ概念図:街区が大きすぎて、道路と道路の距離が広がりすぎないように留意しつつ、街区内にも路地やフットパスなどを設ける、建物の1階部分を通り抜けられるようにするなど、歩行者の自由な移動がしやすいようにして、浸透性(パーミアビリティ)のあるまちであることが求められる
歩行者専用のフットパスを設けて、歩行者ネットワークを様々な形で確保している(横浜市泉区)
浸透性のある建物の接地階(1階)部分の設えイメージ:沿道の建物を整備・改修する際にも、道路や広場などの空間を意識して、内部の様子や、奥の風景が透けて見えたり、建物を通り抜けられたり、建物の中に入りやすかったり、ディスプレイを通して近づきやすかったりしながら、建物が「壁」とならないように、まちに「浸透」するように心がけることが求められる
建物に多様な隙間を設けて、奥に引き込まれるような建物と外部空間が一体となったデザイン(渋谷区代官山ヒルサイドテラス)

コラム

道路の接続性が高いとよく歩く?
 自動車社会に対応して作られたクルドサック(袋小路状の道路)の多い地区(右図上部)よりも、接続性の高い(交差点密度の高い)格子状道路の地区(右図下部)の方が、最短距離で目的地に到達できるため、歩行が促されることが海外の研究で知られています*¹。一方で、一般に道路の接続性が高い日本の都市では、相対的に交差点密度が低い地域の方がよく歩く傾向にあります*²。
(出典:Spielberg*³)

参考文献

*1 Troped, P. J., Tamura, K., McDonough, M. H., Starnes, H. A., James, P., Ben-Joseph, E., ... & Laden, F. (2017). Direct and indirect associations between the built environment and leisure and utilitarian walking in older women. Annals of behavioral medicine, 51(2), 282-291.
*2 Hino, K., Usui, H., & Hanazato, M. (2020). Three-year longitudinal association between built environmental factors and decline in older adults’ step count: Gaining insights for age-friendly urban planning and design. International journal of environmental research and public health, 17(12), 4247.
*3 Spielberg, F. (1989)The Traditional Neighborhood Development: How Will Traffic Engineers Respond?. ITE Journal, 59(18), 17-18.