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 人々の身体活動を向上させるためには、健康に対する意識を醸成するためのプロモーションが欠かせません。日常生活のなかで健康への気づきを自然に得られるような工夫が必要です。例えば、駅などの階段で見る消費カロリー表示は、エスカレーターの代わりに階段を上ることのベネフィットに気づかせてくれます。
 様々な健康施策を共通のロゴマークなどでブランディングする自治体もあります。また、環境影響評価(環境アセス)と同様に、都市開発事業などのまちづくりが人々の健康に及ぼす影響を評価する健康影響評価 (Health Impact Assessment; HIA) を、周辺住民や利用者の参加により行うことも有効でしょう。

バランスウォーキング(イオンモール宮崎):自分の歩く速度や姿勢を知らせて「健康への気づき」を促す歩行年齢測定システム
階段利用を促進するサイン(柏の葉キャンパス駅):楽しく階段利用できるように、消費カロリーに加え、駅周辺地域に関するクイズを表示
海浜公園の各種事業が身体活動に与える影響 (HIA)*¹

コラム

歩数計を持つと交通行動が健康的に変容
 公共交通に関する情報提供や意識啓発を通じて、過度な自動車利用から公共交通など環境負荷の低い交通手段への変化を促す交通政策をモビリティ・マネジメントと言います。
 よこはまウォーキングポイント参加者に「日常的な外出に自家用車やバイクを利用することが減り、徒歩や公共交通が増えた」という変化があったか質問したところ、半数強の方が「ある」または「ややある」と回答しました。周囲の人との会話やあいさつが増えた人にその傾向が強く、行動変容のために人間関係が重要であることが分かりました。また、景品獲得や交流よりも健康づくりを目的に参加した人、鉄道駅から遠くバス停密度の高い地域に住む人にその傾向が見られました*²。

参考文献

*1 Neville, L., Furber, S., Thackway, S., Wallin, T., Gray, E., Mayne, D., ... & Hindmarsh, D. (2004). Health Impact Assessment: Shellharbour Foreshore Management Plan. Illawarra Health & Shellharbour City Council.
*2 Hino, K., Taniguchi, A., Hanazato, M., & Takagi, D. (2019). Modal shift from cars and promotion of walking by providing pedometers in Yokohama city, Japan. International journal of environmental research and public health, 16(12), 2144.